実際の職務に関して

合掌

実際の職務に関して

通常の葬儀屋としての一日

今回の映画では震災だったため、例外的な表現がされているものの、火葬場まで送り出すまでの流れは葬儀が執り行われていないことを抜いて、概ね震災ならではの流れといえる。だが映画の中で語られている、火葬場を使用するにしても、震災前から火葬される事が予定されていた遺体から順番にしていくという。そして不運なことに、釜石市には火葬場が1つしかなく、連続したとしても一日に何十人という人を送り出すことが出来なかった。遺体を何日も安置することは出来ない、いずれ腐ってしまうことも考えて迅速に行動を移さなければならないが、それが出来るほど3年前は全てが順当に物事を運べていなかった。

劇中ではまず、遺体安置所に運ばれてくる遺体を納棺するために大量の棺を用意することが求められているが、こうした業務もあくまで震災だからこその特殊業務といえる。震災時には少なく地域ごとに差はあるものの、釜石市において1,000以上必要だった。それだけでもかなりの労力を要することになるが、通常の葬儀屋として仕事はどのようにこなして行くのか、ここでは具体的に葬儀屋の臨終の連絡を受けた際における業務内容に焦点を絞って、紹介していこう。


葬儀屋の始まり

ではここからは故人となった人の臨終の知らせが来たとき、葬儀屋として一日をどのように過ごすのかを見てみよう。ここではあくまで一例として紹介するので、その点はご了承ください。

・20:00 亡くなったという連絡を受ける

事前に打ち合わせが行われているため、その時から葬儀屋はいつでも動けるように24時間体制で事務所に待機している。そして臨終の知らせが来たら迎えに行く場所と、故人についての情報などをあらかた調べる。

・21:00 現場に到着、搬送

呼び出しを受けた病院の霊安室へと向かい、遺族へのお悔やみと今後の流れを説明して、遺体を病院から引き受けて搬送する。

・21:30 遺族宅に到着・遺体安置

病院から搬送したら、そのまま遺族の家へと遺体を持っていって安置する。無事搬出し終えると、腐らないようにドライアイスなどの処置を施し、枕元に必要な飾りなどをおいて、その後の段取りについて打ち合わせを行ない、誰が喪主を勤めるかを話す。

・23:00 書類作成

遺族との打ち合わせが終わったら、その後事務所に戻って見積もりと葬儀に関する必要な書類などを作成していく。

ここまでが故人が亡くなった直後に行なうべき仕事となっており、そこから先へは時間をおかなければならない。火葬場に関しても、例え遺体があっても故人となってから24時間が経過しなければ火葬する事は許可されていないため、どうにもならない。やはりこの後どのように事態が展開して行くのか、というのも気になるところだ。

お通夜の日のタイムスケジュール

無事遺族の元へ遺体を送り届けることが出来たら、次の日以降に行われる通夜と葬儀に向けての準備を行っていく。まず最初にお通夜の、ちょっとした一例から流れを見てみよう。

・13:00 遺族宅で納棺

遺族宅へ赴き、お悔やみの言葉を伝えた後に遺体を納棺する。その際、故人を白装束に着替えさせてから棺に入れ、通夜会場へと搬送する。こうした仕事の段取りは全て葬儀屋が執り行うが、東日本大震災はそうした手順を踏むことが出来ないまま、着の身着のままで納棺された人々が大半となっている。また昨今では家族葬が主流となっているため、必ずしも別会場で執り行わなければならないといった、そういう決まりは無い。

・14:00 通夜会場での準備

外部会場への搬送、もしくは自宅での通夜準備を行なうことになったら、祭壇を設置し、供花を並べて遺影を飾っていく。遺族や参列者用の椅子を用意し、受付を行うテーブルを用意するなどの準備を葬儀屋が行っていく。首都圏では通夜後に『通夜振る舞い』という風習があるため、参列者のための料理を出すための配膳の用意も行う。

・17・30 通夜開始

会場にて、通夜の司会・進行を行っていく。

・19:00 通夜終了

通夜の終了後、速やかに会場を片付け、翌日執り行われる葬儀、また告別式の準備をする。

葬儀・告別式

通夜の後に葬儀と告別式が行われるが、最近では告別式を行わない家族葬も頻繁に行われている、というより芸能人でもなければ交友関係の広くない人もいるため、そうした場合には告別式を無理に開かなければならない理由もないものの、ここでは一先ず両方執り行う場合の例を挙げていこう。

・8:30 葬儀・告別式会場準備

式を行う会場で準備を始め、遺族からの弔電を預かり、供花が追加で届いている場合には配列の順番を決める。

・10:00 葬儀・告別式開始

会場で葬儀・告別式を取り仕切っていく。司会進行を行い、担当事に仕事が変わっていく。

・11:00 出棺

告別式が終わると、棺に生花などを入れて故人との最後の別れをする。棺に入れる生花なども葬儀屋が用意し、速やかに職務を全うするために仕事をこなしていく。

・12:30 火葬・お骨上げ

出棺された遺体を斎場にて火葬し、遺族によるお骨上げを行う。その後遺族が骨壷を持って会場へと戻る際に、誘導を行う。

・13:00 初七日法要・精進落とし

会場に戻ると、初七日法要を行い。その後遺族が精進落としの会食を行い、配膳スタッフが食事の準備をしてお酒やお茶を出す。また別のスタッフはそれと同時進行で会場を片付け、最後に遺族を無事に送り出したら事務所に戻る。

・16:00 事務作業・業務終了

事務所に戻ったら最終的な請求書を作成して、長かった葬儀屋としての仕事はそれにて終了する。